
Dreams Come True 〜プロスポーツのある街 VOL.1〜(2009年10月7日〜配信)
【執筆者プロフィール】
黒田 祐(くろだ たすく)
富山グラウジーズ代表取締役社長。
1977年4月19日生まれ 富山県上市町出身。
富山商業時代にはインターハイ出場。
2006年富山グラウジーズで選手として活躍。
2008年富山グラウジーズゼネラルマネージャー就任。
2005年からはNPO法人GROUSES.NET理事長も務め、ジュニア世代の育成にも力を注いでいる。
「新たなスタート」
bjリーグ参入4年目のシーズンが開幕目前となってきました。今シーズンは10月17日に黒部市で開幕します。今年は、参入後初のプレーオフ出場を目指して、選手たちは日々練習に励んでいます。そして着実に成長が見られるようになってきました。ヘッドコーチにチャールズ・ジョンソン氏を迎え、選手も一新し、新たな気持ちで2009-2010シーズンを迎えたいと思っています。
◆新生富山グラウジーズ
今年グラウジーズが変わった点といえば、現在選手の育成・強化を目的に、チームの練習拠点を上市町に移転したことが挙げられます。その理由は、練習環境を整えることがまず、第一だと考えました。これまでの3シーズンは、拠点となる練習施設がないことから、練習場所が毎回変わり、その移動にも時間がかかるなど、選手にとっては、バスケットをする上で制限や負担のかかることが非常に多かったと思います。
私自身、プロ選手として、一年間チームに在籍した経験もあり、この辺のことは、身をもって体験していたので、ここの部分を変えることで、チーム強化を図ることができると考えました。選手は、上市町内にあるウェルネス寮(愛称 ヒルトン)に住んでいます。そう、共同生活を送っているのです。生活を共にすることで、今年はチームワークが非常に良いと感じています。練習以外にもコミュニケーションを図ることができ、選手個々を理解し合える時間が多く取れるからです。
正選手と共に、現在は練習生を4人受け入れています。選手契約をしていませんので、収入はありません。ですが、それでも「バスケットボールをやりたい、上手になりたい」その一心で富山グラウジーズの門を叩いてきました。練習生も共に刺激し、成長してもらいたいと考えます。
◆協力うけて環境整う
そして5分圏内にトレーニングジム、ミーティングルーム、体育館への移動が可能になりました。練習の時間をたっぷりとることが出来る、それはバスケットボールに集中する時間が増えるということです。プロの選手として、試合を観戦にいらっしゃったブースターの方々には常に最高のプレー、パフォーマンスを見せなければなりません。そういう意味でも練習環境が整ったことは非常に喜ばしいことです。
こういった環境を用意できたのも、上市町にある富山健康科学専門学校の協力が非常に大きいと言えます。スポーツ界で活躍できる人材を育成されている同校との連携は、施設利用をはじめ、学生さんのインターンシップの受け入れ、学校からのノウハウ(トレーニング理論・実践指導・栄養学ほか)の提供など、今後もっとお互いの協力関係を密にしていくことができます。チーム力は必ず向上すると確信しています。
「チーム運営」
◆集める努力と抑える努力
2006年bjリーグ参入当時から、チームは経費等の圧迫から、赤字運営を続けてきました。今シーズンは、単年度で黒字にすることが大きな経営目標になります。そのためには、収入を安定化させることはもちろん、経費の見直しを徹底的に行ないました。私が考えるに、プロチームの運営は、少なく見積もっても1億円はかかります。その1億円を集める努力と、1億円に抑える努力を同時に実践しなければなりません。
まずはチケット収入の安定です。昨年度は、年間チケットを多くの方々に購入していただき、5,000万近い数字を挙げることができました。この数字はブースター(応援してくださるファンの方々)のお陰です。ブースターの皆さんに支えていただくチーム運営は、これからも変わりません。富山グラウジーズは、ブースターが命です。今年は、ブースター会員の募集に力を入れ、とにかく1,000名以上の方に会員登録をしていただけるようお願いしていきたいと思います。
◆セールスポイント
また、スポンサーの収入も同時に増やす努力が必要不可欠です。開幕までわずかな期間ですが、より多くの企業の方々にご理解いただけるように、チーム強化と同様力を入れて挨拶に回っています。グラウジーズのスポンサーになるメリットをアピールしなければなりません。では、メリット、セールスポイントは一体どこかと考えると、毎回1,800名の観客動員がある冬の興業であること。これが富山グラウジーズの一番のセールスポイントです。1試合2,000名(年間50,000人)の動員人数を目指します。
屋内スポーツということで、観客の収容人数は限られるため、他のスポーツに比べるとチケットの値段が高いのは事実です。しかし、今シーズンは新たに500円チケットを設け、一度、観戦する楽しさを味わってもらいたいと考えています。スピード感や迫力を肌で感じてもらえば、必ずファンになってもらえるという自信があります。結果、新たな観客の方に富山グラウジーズが浸透していくはずです。そうすることで、チームの広告価値、商業価値を高めて行きたいと考えます。
◆プロチームとしての使命
富山グラウジーズを通じて、企業の皆様にお力になれることはたくさんあると思います。これまで、チーム運営のためにお金を使うことがほとんどでしたが、今年はその一部を富山県のために有効に使っていきたいと考えています。富山のプロチームとして、富山の皆さんに元気と活力を与えることが私たちの使命だと思っていますので、富山県の皆さんを元気に、富山県を元気に、それをテーマに会社として、『元気プロジェクト』を実施します。元気プロジェクトについては、今後詳しく説明したいと思います。
富山グラウジーズは、富山県の皆さんに愛されるチームにならなければなりません。時には、厳しいお言葉も頂きますが、それはチームが成長するためにしっかりと受け止め、前に進んで行きたいと思っています。
「シーズン開幕」
◆社長就任
開幕を直前にして、代表取締役社長に就任しました。これまでグラウジーズを思い、活動してきたことに変わりはありませんが、地元に密着するという意味で富山のスタッフで運営したいと考えておりますので、その中で社長という役職にはとても責任を感じています。順風満帆ではありませんが、この難局を新たに役員に就いていただいた県内の様々な企業の方々と話し合いをしながら進めていきたいと思っています。
社長を引き受けるに当たり、32歳の私が出来ることといえば、これまでのバスケットボールの経験を活かして活動することです。チームブランドの構築を兼ねたプロモーションやチケット販売等いろいろな分野でご活躍いただいている方々の後押しをいただくことにより、プレー同様チームプレーで頑張りたいと思っています。グラウジーズを通して、富山県を元気にしていきたいとさらに気を引き締めています。
◆開幕戦に勝利
開幕を翌日に控えた16日は、久しぶりに早く眠りにつきました。正直あまり覚えていませんが、たっぷり休んだような気がします。比較的リラックスしていたということだと思います。しかし、開幕当日の17日は何か違う空気がありました。それを感じたのは、会場となる黒部市総合体育センターに入ったときです。何とも言えない重い空気を体に感じたのです。これが、今のグラウジーズなのか。と思いました。一瞬ネガティブな思考になってしまったのですが、一旦外の空気を吸って落ち着きを取り戻し、開場と同時に久しぶりにブースターの方々に会い、「社長就任おめでとうございます」と声を掛けていただくなどすると、さらにパワーをもらったような気がします。
試合は、見事勝利! 1戦目をいい形で勝てたと思います。52試合あるうちの1つ。ですが、ただの1/52ではありません。シーズンの最初を勝てたのはとても大きいと思います。プレシーズンマッチでは60点ほどしか取れなかったチームが、開幕から80点、90点と得点を重ねることができました。
◆声援に感謝
オフェンスをしている場面が多かったように感じられた方もいらっしゃったかもしれませんが、それは相手のオフェンスを断ち切って、ディフェンスからオフェンスへ素早く展開し、スピード感ある攻撃に繋げていることが要因です。ただこれは、ディフェンスの意識を高く持ち一つ一つ頑張らないと出来ないことです。
例えば、友利選手が転がっているボールに食らいついたり、水戸選手がディフェンスで相手ボールを止めたり。選手たちが本当によく頑張ってくれました。その結果が、開幕戦の勝利に繋がったのだと思います。私が目指しているバスケットボールに近づいてきたなと感じました。そして、もちろん会場設営など徹夜でしてくれたスタッフの頑張りも忘れてはいけません。
黒部、高岡の2日間、両会場とも1,800人を超えるブースターの方が応援に来てくださいました。本当に感謝です。ブースターの方々にも、「今年のチームはいいチームだね」と言っていただきました。もちろん勝敗も大切ですが、選手たちが、必死でボールを追いかける姿勢に好感を持っていただいたようです。これがグラウジーズのプレースタイル。それをどんどんブースターの皆さんにお見せしたいと思います。
この事業はスポーツ振興くじの
助成を受けて実施しています